地域資源情報

19 霊 山

その他の参考情報

特徴の補足説明

a1 古くから中央に知られた霊山

– 戸隠 –
戸隠山は、平安末期「梁塵秘抄」の歌に「四方の霊験所」として挙げられ、近世には修験道界の一センターであった。
戸隠開山についての説話では、戸隠の開山学問行者が飯縄山で7日間祈念したのちに戸隠を開いたとされており、戸隠において飯縄が修行の場の一つであったと考えられている。
妙高の関山神社は、祭神の一つに戸隠権現に関係のある新羅大明神を祭るなど戸隠山信仰の流入が見られる。これは平安時代以来隆盛であった戸隠修験が、峯を行じて伝播させたものと考えられている。

a2 主要な信仰の影響

– 白山信仰 –
米山は、伝説によれば泰澄が開いたといわれる。泰澄は、白山を開山し、役小角とならび修験道の祖である。彼は二体の薬師如来のうち、一体を五輪山(米山)、もう一体を斑尾山に安置したと言い伝えられる。

特徴の成り立ちと影響の補足説明

b1 険しい地形

日本アルプスをはじめとした中部霊山の多くは、岸壁が行く手を遮って登頂困難な高山で、容易に修験道の霊山になり得なかったとの指摘もある。

b2 位置・交通

中部山岳宗教は、近畿や北陸の名山の影響を受け、また出羽三山修験道の信仰圏でもあり、東西両方から成立基盤を異にする山岳信仰が入り込む複合的な多様性がうかがわれるとされる。
中部地方は、文化的に東西日本の接触地帯であったことから、総体的に見て中央近畿地帯の霊山発展よりもかなり遅れたとの指摘もある。

参考文献・サイト

※特に参考とした文献には●を付しました

(全国的な傾向)
●和歌森太郎(1975):山岳宗教の成立と展開、名著出版
・桜井徳太郎(1976):山岳宗教と民間信仰の研究、名著出版
・五来重(1980):修験道入門、角川書店
●宮家準(1986):修験道事典、東京堂出版
●宮家準(2012):修験道の地域的展開、春秋社
●宮家準(2012):修験道 その伝播と定着、法蔵館
・宮家準(2016):霊山と日本人、講談社学術文庫
・佐々木高明(2005):山の神と日本人 ―― 山の神信仰から探る日本の基層文化、洋泉社
・久保田展弘(2004):日本の聖地、講談社学術文庫
・本山修験宗総本山 聖護院ホームページ http://shogoin.or.jp/ascetie.html
・菅豊(2000):修験がつくる民俗史、吉川弘文館
(新潟・長野)
・宮家準(1986):修験者と地域社会 -新潟県南魚沼の修験道、慶応義塾大学宮家研究室報告Ⅱ、名著出版
・戸川安章(1975):出羽三山と東北修験の研究、名著出版
●鈴木昭英(1978):富士・御嶽と中部霊山、名著出版
●鈴木昭英(2004):越後・佐渡の山岳修験、法蔵館
・高瀬重雄(2002):白山・立山と北陸修験、名著出版
・長野市立博物館(1994):第35回特別展 信濃の山岳信仰
●田上善夫(2008):地方における霊山の配置とその影響、富山大学人間発達科学部紀要2-2、pp.95-114
・田上善夫(2004):日本海側中北部の地方霊場の開創と寺社分布のかかわり、富山大学教育学部研究論集7  pp.35-48
・八十二文化財団(2016):紀行 戸隠・関山・能生、地域文化№119
・戸隠神社(1997):戸隠信仰の歴史
・戸隠神社(2015):戸隠信仰の諸相
・戸隠神社パンフレット
・上越市ホームページ(米山)
・山村民俗の会編(1990):山の神とヲコゼ シリーズ山と民俗7
・池田弥三郎(1982):山の神 里の神 東海甲信越、小学館
・亀井千歩子(1977):奴奈川姫とヒスイの古代史、国書刊行会
・土田孝雄(1984):神遊びの里、奴奈川郷土文化研究会
・土田孝雄(1990):奴奈川姫、奴奈川郷土文化研究会
・寺村光晴(1995):日本の翡翠、吉川弘文館

更新履歴

  • 2022年6月7日 「その他の参考情報」を追加しました。
  • 2022年4月21日 ページを公開しました。