地域資源情報

06 米

その他の参考資料

特徴の補足説明

a1 米の生産規模

【米の作付面積・収穫量ランキング】
(平成29年・都道府県別)

出所)農林水産省「作物統計」をもとに作成

【米の作付面積ランキング】
(平成29年・全国市町村別)
【米の収穫量ランキング】
(平成29年・全国市町村別)

出所)農林水産省「作物統計」をもとに作成

a2 米の品質

【米の価格ランキング】
(平成28年・産地銘柄別)

備考)主食用1等米の玄米60Kg当たりの価格(円・税込)。全国の産地・銘柄数は116。
出所)農林水産省「平成28年産米の相対取引価格」をもとに作成

– 一等米比率について –
米の価格は、その銘柄のみならず、農林水産省が粒の形状などを検査して算出する「一等米比率」によっても影響を受ける。
一等米比率は、その年の天候の状況によっても左右されるが、一般的には東日本で高い傾向にある。
特に長野県産米の比率は高い傾向にあり、水稲うるち米の平成29年産で96.5%(1位)、平成28年産で97.4%(2位)となるなど、全国1,2を争っている。新潟県産米は、それぞれ85.0%、84.8%であり、全国平均に比べて若干高い程度である。

– 米の食味ランキング –
米の品質や美味しさを評価する指標はいくつかあるが、日本穀物検定協会が実施する「米の食味ランキング」は、実際に電気炊飯器で炊いて食べて決める食味試験であり、全国的に知られている。
近年では全国的に特Aの米が増加し、平成29年産米では151産地品種のうち43品種が特Aとなるなど、全国的に米の美味しさが向上し、産地間競争がより激しくなっている。

– 米・食味分析鑑定コンクール・国際大会 –
米・食味鑑定士協会が2000(平成12)年から行っているもの。現在、総出品数国内最大である5,600検体以上を誇り、お米では最大級の規模のコンクールへと成長。第10回から国際大会となり、受賞者は海外でも高い評価を得ている。

【米・食味分析鑑定コンクール国際大会総合部門金賞受賞数の推移(最近10年間)】

備考)市町村名が不明の場合、郡名にて表記。第20回は2018年に開催。
出所)米・食味鑑定士協会ホームページをもとに作成

a3 優れた基盤整備の歴史

– 日本棚田百選 –
日本棚田百選は、多面的機能を有している棚田について、その保全や保全のための整備活動を推進し、農業農村に対する理解を深めるため、農林水産省が優れた棚田134地区(117市町村)の認定を行ったもの。

【日本の棚田百選】

備考)下線は信越県境付近の市町村

– 世界かんがい施設遺産 –
世界かんがい施設遺産は、かんがいの歴史・発展を明らかにし、理解醸成を図るとともに、かんがい施設の適切な保全に資するために、歴史的なかんがい施設を国際かんがい排水委員会(ICID)が認定・登録する制度。平成26年に創設され、平成30年度現在、世界では74施設の登録があり、うち国内は35施設登録されている。

【国内の世界かんがい施設遺産】

出所)全国水土里ネットホームページをもとに作成
http://www.inakajin.or.jp/jigyou/tabid/372/Default.aspx

– ため池百選 –
ため池百選は、農地を潤す水源として、また地域活性化の核として保全・活用される取り組みの機運を醸成するとともに、ため池の有する多様な役割と保全の必要性の理解を促す契機として、農林水産省により平成22年度に選定されたもの。農業の礎、歴史・文化・伝統、景観、生物多様性、地域とのかかわりにおいて、特に秀でた特徴を有しているものが選定された。

特徴の成り立ちと影響の補足説明

b1 地すべりや河川が作り出した土壌

地すべりによって攪拌された土地や地すべり面に沿って流れくだる地下水などは、米づくりに適した自然環境を生み出したとされる。

b2 雪国の気候

冬の雪は山間部中心に厚い積雪層となって巨大なダムの役割を果たしており、この雪が少しずつ解け出して稲作期間に豊富な水を供給している。
近年の気候の変動はあるものの、新潟県は稲が熟すのに最適な平均気温であると長年されてきた。また、昼夜の温度差が大きいことで、昼間に蓄えられたでんぷんが夜間に消耗されず、充実した米粒になるといわれている。

b3 用水・新田開発

上越地域の新田開発は、高田藩 松平光長の時代(1624~81年)に盛んに行われた。また中世から近世にかけても多くの用水路が開発された。
例えば、中江用水は、高田藩家老小栗美作の指揮のもと、当時の農業土木工事としては最大級の約26㎞の越後第一の用水路を完成させ、およそ107か村の田んぼが水不足から解放された。また、上江用水は、多くの農民の努力と資金でおよそ400年前から130年かけ掘り継がれた用水で、これほど地形が悪い場所を通り、山をくり貫き、川の下を通す難工事の箇所が多い水路で、全長26㎞もの大規模な用水は全国的にも珍しいと言われている。
北信地方では、昔は飯山盆地・延徳沖など湿田が多く、田植え、イネ刈りは腰までつかるほどであったが、灌排水工事が進み、区画整理によって、単収の向上とともに作柄が安定し、稲作転換によって、果樹・アスパラガスなどが栽培されるようにもなった。

b4 品種改良や栽培技術の向上

– 新潟県 –
昭和19(1944)年に新潟県農業試験場で、「農林22号」と「農林1号」がかけあわされ、その子孫の中から有望な系統が育てられた。そのうちの一部が福井県の農業試験場へ移され、昭和28年に「越南1号」という品種ができた。これが再び新潟県へ戻り、昭和31年に「コシヒカリ」と名づけられ、全国に先駆けて新潟県で奨励品種となった。倒れやすくいもち病に弱い点が大変の試験地から指摘されていたが、当時の農業試験場長は「栽培法でカバーできる欠陥は致命的欠陥にあらず」と判断し、採用された。

– 長野県 –
長野県において、戦後における代表的な農法改革には保温折衷苗代と室内育苗があげられている。室内育苗は、積雪地である飯山試験場において仮植育苗技術として開発され、ほぼ10年後に普及に移した。保温折衷苗代は全国的に普及し、早植え栽培法として日本の戦後の収量増加、安定に貢献した。
特に長野は標高差が大きく、気象・土性・地勢など、自然的条件が複雑なため、それらに対応して、県の奨励品種が20種類もあり、全国一多いともいわれている。
長野県の良質米産地としては、飯山の木島米と佐久の五郎兵衛米が名をあげているが、単なる自然条件によるものではなく、かつて他の地域で味の悪い品種をつくっていた時期に、質の良い米を作り続け、その味を売り込んだ結果ともいわれている。

b5 日本酒や味噌づくりの発達

県内米菓生産の始まりとなった関野米菓は、現在廃業となっているが、新潟県全体としては米菓生産日本一に成長している。

b6 農機具工業の発達

上越市の農機具メーカーによる製品は定評が高く、かつて全国で有数の生産量を誇った時期もあった。当時の主なメーカーには、佐藤製作所(明治43年創業、平成18年操業停止)、大島農機(大正6年創業)、篠宮農機(大正12年創業、昭和63年操業停止)がある。

参考文献・サイト

※特に参考とした文献には●を付しました。

(総論)
●農林水産省ホームページ(特集1 米)
・農林水産省監修(1984):日本の稲作、地球社、1-33頁
・農林水産省(2018):米をめぐる関係資料
・農林水産省:平成28年産米の農産物検査結果(確定値)
(新潟県)
●新潟県農林部(1974):新潟の米百年史
●新潟県(1982):「新潟米」50年のあゆみ
●諸橋準之助(1996):新潟の米ものがたり、新潟日報事業社出版部
・新潟県ホームページ(こしひかりの軌跡、にいがたのお米Q&A)
http://www.pref.niigata.lg.jp/nosanengei/
・新潟文化物語ホームページ(file27 新潟のおいしいお米)
https://n-story.jp/topic/27/page1.php
・妙高市観光協会ホームページ
http://www.myoko.tv/fascination/arai
(長野県)
・岩戸貞彦(2009):北信濃近世・近代の水と山、ほおずき書籍、
・木村和弘(2004):信州発 棚田考、ほおずき書籍
・木村和弘(2009):信州発 続棚田考、ほおずき書籍
・小松芳郎(1994):長野県の農業日記 明治・大正・昭和の記録、郷土出版社
・長野市誌編さん委員会(2001):長野市誌第3巻 歴史編近世1、長野市
・長野市誌編さん委員会(1997):長野市誌第5巻 歴史編近代1、長野市
・長野市誌編さん委員会(2000):長野市誌第6巻 歴史編近代2、長野市
・長野市誌編さん委員会(1997):長野市誌第8巻 旧市町村誌編、長野市
・関東農政局長野統計情報事務所 編(1987):長野県の稲作(市町村別累年統計)、長野農林統計協会
●長野県農業改良協会(1994):米づくりへの誘い
●長野県農業関係試験研究一世紀記念事業実行委員会(1998):長野県農業試験研究一世紀記念誌、長野県
・長野県ホームページ(知ってる?信州農産物)
https://www.pref.nagano.lg.jp/nosei/sangyo/nogyo/shinshu/index.html
・長野県ホームページ(長野県のお米情報)
https://www.pref.nagano.lg.jp/nogi/sangyo/nogyo/okome/index.html
・JAながのホームページ(JAながのがおいしい理由)
https://www.ja-nagano.iijan.or.jp/products/oishii/
・長野県農業関係試験場ホームページ https://www.agries-nagano.jp/
・ながの食農教育情報プラザホームページ(長野県農業の特徴)
https://www.iijan.or.jp/shokunounet/tokusan/tokusan01.html
・信州いいやま観光局ホームページ http://www.iiyama-ouendan.net/food/f-products/rice/

更新履歴

  • 2022年6月7日 「その他の参考情報」を追加しました。
  • 2022年4月21日 ページを公開しました。